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目次,はじめに
概要
本書は自然災害による惨事(死亡と破壊)に対して政府はかなり費用効果の高い予防策を講じることができると結論する.予防策には多くの智恵と行動が必要である.予防策には直接的なものと,間接的なもの、たとえばインフラの整備,公共輸送の安全確保,森林伐採を減らして土石流を防ぐなどがある.本書ではこうした方法とその関連支出を提案する.また,住民の参加と公的監視を含む制度が必要不可欠である.それを実行するには政府の意志決定についての透明性を高めることが重要である.災害保険の限界,各個人で出来ること,これからますますひどくなると予想される世界的な気候変動とその災害対策にも論及している.
十分な防災対策があっても厳しい自然災害は起こり得る.そうなれば回復と再建のためにかなりの資金が必要となる.一国の財政の安定性に対する災害の影響を十分理解することが大切である.借入れ,支援国からの援助なども最終的にはその国の課税にたよらざるを得ないことを念頭に置く必要がある.
本書は世界銀行や国際連合の行なったハイチやトルコの大震災,エチオピアの大干魃,インドネシアを襲った大地震と大津波等の例から対応の成功と失敗を具体的に検証する.先進国の例も豊富に提示し、失策や怠慢による人災を明らかにする.東日本大震災に対する日本の対応を成功させるためにも参考となる.
目次
謝辞
憂慮する財務大臣への覚え書き
概観
第1章 死亡者数の変動と被害の増加――数字が語るもの
2010 年までの40 年間に330 万人が死亡した
災害はどんな場所でも発生する
損害は増加している
富裕国は損害が非常に多いが貧困国は損害が少ない
大打撃を受ける小さな島の経済
アフリカは死亡者数が増加している――損害では縮小している
複数の自然現象がさまざまな形で集まっている
スポットライト1 バングラデシュ――救われた命の前例
第2章 災害による多くの影響を測定する
追いつめられた人々
紛争:原因か結果か?
福祉は減少するが,生産高にはどんな影響があるのか? また,
どのくらい続くのか?
経済生産高および長期的成長への集積的,分野的影響
損害の測定:2倍か半分か?
スポットライト2 トルコ――文明と地殻構造プレートが出会う場所
第3章 個人による予防策
防災,保険,対処法:単純な枠組
予防策:個人の対策は十分か?
土地・不動産市場が機能しているときは価格に自然災害のリスクが反映される
個人の決定を向上させる:政府に何ができるのか?
スポットライト3 ハイチ――ハイチの恐怖を防ぐ
第4章 政府による予防策
政府の支出はどれくらいか?
誰が本当に政府の支出を決定するのか?
集団的な防災対策を改善する方法
スポットライト4 エチオピア――旱魃による死かデルグによる死か
第5章 保険と対処
保険:保険料が適正ならば有用である
政府は借り入れたり,準備金を積んだり,保険に加入すべきか?
家族に対する迅速で直接的な援助
スポットライト5 2004 年の津波――最も効果的な予防対策は?
第6章 大変革をもたらす要因がやってくる?
急成長する都市,気候変動,気候によって引き起こされた大災害
都市:危険にさらされている人口や資産の増加
気候変動:自然災害が変化し損害も変化する
気候関連の大災害:地球に大きな影響をおよぼす遠い将来の災害
3つのC を結びつける:都市(city),気候(climate),大災害(catastrophe)
憂慮する市民への覚え書き
注および参考文献
訳者紹介
千葉 啓恵(ちば ひろえ)
東北大学大学院農学研究科修士課程修了.化学会社研究所勤務を経て生物科学・自然科学関連の翻訳者に.翻訳書に『幹細胞WARS 幹細胞の獲得と制御をめぐる国際競争』(共訳,2009 年,一灯舎),『グローバルフィーバー ――地球温暖化の症状と対応策』(2010 年,一灯舎)がある.