近刊のご案内 2016年3月

更新日:2016/03/05

近刊のご案内

3月に,以下の本を出版いたします.

沿岸と20万年の人類史 「境界」に生きる人類、文明は海岸で生まれた
ISBN978-4-907600-41-9 C0025 定価(本体2,800円+税)

 世界各地で沿岸部への移住がつづき、現在では、世界の人口の半分が海から約190 キロの範囲内で生活している。いまやわれわれは物理的に、そして精神的にも、陸と海の境界に暮らしている。われわれは沿岸という環境に文化的に適応している過程にあり、極めて重要な時期に身をおいている。現代では誰もがみなcoastal(沿岸の、沿岸に関係している)だといえよう。

 本書は、沿岸の歴史を六つの時代に分けて分析している。人類がアフリカの内陸部から最初に海にもどったときを起点とし、世界の沿岸に存在してきた継続と変化を掘り起こし、ひとつひとつに光を当てている。著者は、現在の歴史学者を、海より陸を、沿岸の人々より内陸の人々を優先し、沿岸という枠から歴史を見ることをしないとして批判している。そして、真のエデンの園は内陸ではなく沿岸にあり、ホモ・サピエンスは陸と海が出会う沿岸という移行帯で進化した周辺種だと考えるのが妥当であると主張する。内陸中心の歴史を覆すことが必要だと確信した著者は、沿岸と人類の歴史をたどりながら、沿岸は人類の形成において極めて重要な役割を果たし、一方、われわれ人類も沿岸を現在の状態に変えたことを、多くの引用や絵画、写真、地図を用いて論述している。

 島国である日本も沿岸との結びつきは深い。東日本大震災は、沿岸で生活するということについて改めて考え直す機会となった。地球の環境危機が叫ばれる現代、われわれは陸と海が出会う人類の真の故郷に帰らなければならない。沿岸に住むだけでなく、沿岸と共存することを学ばなければならない。そうしなければ、われわれの存続も沿岸の存続も不可能である。