M&Aは儲かるのか

なぜ企業買収に失敗するのか

ロバート F. ブルーナー 著

林 大幹 訳

2006年11月 発行

定価 3,675円(税込)

ISBN 4-903532-04-6

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・  目次

概要

本書は、M&Aの泰斗ロバートF.ブルーナー教授(名門バージニア大学ダーデン・ビジネス・スクール)がこれまでの膨大なM&AのデータやM&Aの調査レポートを分析し、関係者へのヒヤリングを重ねることによって上梓されたものである。本書には、主要なテーマが二つある。一つは、M&Aは儲かるのかということであり、もう一つは、なぜM&Aに失敗するのか、そのためにはどうすべきかということである。
本書は、膨大な調査結果に基づいて、アメリカのM&Aの平均的な損益を示すとともに、海外の買い手、上場会社の買収など個別買収の損益の分析も行っている。また、株式交換による合併が、対象会社の株主に与える弊害などにも言及している。本書には、このように日本企業によるアメリカ企業の買収や、来年解禁される「三角合併」の影響を受けることとなる日本の株主などへの数々の貴重な示唆や警告も含まれている。
これまでに行われた注目すべき10のM&Aを取り上げ、同じような状況にありながら異なった結果になったM&Aと比較を行うことによって、それらのM&Aを 理論的に考察している。
M&Aに関わる人だけでなく、企業の経営などに興味のある人にとっても楽しめる内容となっている。

目次

謝辞

第1章 はじめに

本書の概要

調査から得られたことの概観

結論 M&A失敗の可能性を予測すれば、成功の可能性は高まる

第I部 M&A失敗の全体像

第2章 どのようなM&Aが儲かり、どのようなM&Aが儲からないのか
   ―― 調査を精査して ―― 

M&Aの失敗とは社会通念上なにを意味するのか 結局あいまいのままだ

M&Aの収益性の測定 なにと比べてよいのか

一般的な調査結果 M&Aは儲かる

すべてのM&Aは個別のもの

どのようなM&Aが儲かり、どのようなM&Aが儲からないか

結論 これらの分布図が教えてくれること

第3章 例外的なM&A取引のプロフィール

例外的な実績を収めたディール

第4章 現実の惨事とM&Aの失敗

惨事を招いたM&Aの失敗

現実の惨事とその発端

現実の惨事に共通する要因

現実の惨事を未然に防ぐ システムの設計変更と高い信頼性のある組織

結論

第II部 M&A失敗のケース・スタディ

第5章 一九六八年二月 ――
   ペンシルベニア鉄道とニューヨーク・セントラル鉄道の合併

合併の前後

二〇世紀半ばアメリカ鉄道業界の経営基盤は悪化

ディールの歴史

合併条件

その結果

エピローグ

対比される取引 ―― その後の鉄道合併

結論

第6章 一九八六年十二月 ――
   レブコ・ドラッグ・ストアーズのLBO

レブコの終焉

対比される取引 ジャック・エカードのLBO

資本充実度の問題

結論 なにが悪かったのか

第7章 一九八九年九月 ――
   ソニーによるコロンビア・ピクチャーズの買収

巨大映画会社を狙う

買収の動機

ディールに巡り合う

グーバーとピーターズの時代

対比される取引 ユニリーバによるベストフーズの買収

結論 手を広げることが負担に変わる

第8章 一九九一年九月 ――
   AT&TコーポレーションによるNCRコーポレーションの買収

AT&T コレクト・コール

買収の発端

NCR 金銭出納機からコンピュータへ

企業買収

合併の結果

惨憺たるディールを補足するもの メルクとメドコ

結論

第9章 一九九三年十二月 ――
   ルノーのボルボに対する合併提案

合併の動機 ルノーとボルボ

合併提案に対する反応

対比される取引 ヒューレット・パッカードとコンパック

HPとコンパック合併の理論的根拠

市場とウォルター・ヒューレットの反応

合併の条件

賛成投票を求めてのキャンペーン

ヒューレット・パッカードとコンパックの結末

感想 コミュニケーション、信頼、支配権の価値

第10章 一九九四年十二月 ――
   クエーカーによるスナップルの買収

スナップル・ベバレッジ・コーポレーション

クエーカーのスナップル買収の動機

買収はどのように行われたか

対比される取引 スマッカーによるジフとクリスコの買収

感想 戦略的反応の果たす役割

第11章 一九九九年五月 ――
   マテルによるザ・ラーニング・カンパニーの買収

マテルのディールについての発表

対比される取引 IBMによるロータス・デベロップメント・コーポレーションの買収

結論

第12章 二〇〇一年一月 ――
   AOLとタイム・ワーナーの合併

はじめに

合併の発端

合併の動機

合併の結果

失敗の要因

対比される取引 ヤフーのジオシティーズとブロードキャスト・コムの買収

ブロードキャスト・コムの買収

結果 ヤフー

結論

第13章 二〇〇一年十二月 ――
   ダイナジーによるエンロン買収の提案

合併会社 エンロンとダイナジー

合併提案に至った出来事

エンロンとダイナジーの合併交渉

ダイナジーとエンロン合併の蹉跌

対比される取引 AMCによるゼネラル・シネマの買収

なぜダイナジー/エンロンは失敗し、AMC/ゼネラル・シネマは生き延びたのか

第14章 二〇〇二年一月 ――
   タイコ・インターナショナルの買収プログラム

タイコの驚くべきニュース

対比される取引 バークシャー・ハザウェイの買収プログラム

結論 モメンタムによる買収についての教訓

第III部 M&A失敗の全体像

第15章 結論とそれの意味するもの

M&Aの失敗とはどういうものか 失敗と成功の確率

どのような場合にM&Aは失敗するのか 失敗と成功の近傍

M&Aに失敗するのはだれか 成功と失敗のプロフィール

M&Aはどのようにして失敗するのか 「たとえ話」

M&Aになぜ失敗するのか 完全な嵐

さらに M&Aの失敗のない世界

第16章 CEOへのメモ  おわりに ―― 成長について

成長モメンタムのカルチャー

成長の種類で重要なもの

ばらつきのある成長の世界での経営

目を覚ますと、嫌なにおいがする

原注

参考文献

著者について

索引

原著者紹介

ロバート F. ブルーナー(Robert F. Bruner))

バージニア大学ダーデン経営大学院の著名な経営学教授であり,コーポレート・ ファイナンス,合併買収,新興市場への投資,イノベーション,技術移転などを 教える.ダーデンのほか,コロンビア,INSEAD など多くの大学院の客員教授も 務めてきている.ダーデンでは,MBA プログラムで「合併買収」を教えるとともに, 経営者教育プログラム「合併買収」の教授陣の責任者も務めている.ブルーナー は400 を超える論文やケース・スタディーの著者ないしは共著者である.最新の 著書『Applied Mergers and Acquisitions』は,本原書と同じくワイリーから出版 されている.彼は,20 を超える企業ならびに政府のコンサルタントも務めてきた が,以前は商業銀行家であり,ベンチャー・キャピタリストであった.エール大 学のBA と,ハーバード大学のMBA,DBA(経営学博士)を持つ.

訳者紹介

林 大幹(はやし おおえ)

京都大学経済学部卒業.日本債券信用銀行入行.ニューヨーク支店長,常務取締 役などを経て日債銀信託銀行取締役社長,同会長を歴任.

翻訳書
『アメリカCEO の犯罪』,『格付けゲーム』,『激動期の金融戦略』,『総説 銀行リ スク分析』,『サイバー資本主義に挑むトレーダーたち』(格付けゲーム以降は共訳) シュプリンガー・ジャパン株式会社刊.