世界開発報告 2007(発売中)

経済開発と次世代

田村 勝省 訳

2007年3月 発行

定価 3,500円

ISBN 978-4-903532-06-6

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・  概観

概要

 発展途上国の若者世代への投資を考えると,現在は千載一遇の好機であると言える.12-24才の青少年は目下途上国で13億人に達し, 歴史上最も大きい集団をなしている.彼らはおしなべて,その前の世代と比較してよりよく教育されており,より健康的である.世界 的には基礎的レベル以上のスキルを一層要求しつつある.そのなかで,彼らは,潜在的には,より強固な基盤を形成している.今日 の若者世代は,出生率が相対的により少なくなりつつあり,従って,彼らは扶養家族がより少ない状況下で次の時代の労働力となり, 企業家となり,両親となり又,積極的な市民となる.これらの国々は,このような良い機会にめぐまれ,いわば発展への窓が開かれた時 期に,将来に向けて投資すべきである.さもなくばやがて人口の老齢化によって,好機の窓は再び閉ざされてしまうからである.

 世界開発報告2007,「経済開発と次世代」は,若い世代が人的資本となっていく5つの成長過程において,政府がとるべき施策の優先  順位を示している.それらは,学ぶ時期,就労の時期,健康を保持し家族を作って市民権を行使する各々の時期においてである.こ  のような施策の優先順位を決めるための道具としてこの報告は,3つのレンズに光を当てて焦点を絞る.それは機会の拡大,能力の増  強,及びセカンドチャンスを与えることの3つである.機会の拡大には教育の量だけでなく,質を高めること,それによって就労・就  職への過程をスムーズにし,市民活動へのステップを提供することである.能力の増強は,若者達が自己の活動の結果を知ることであ  り,特に重要なのは彼らの人生のずっと後に影響力のある活動結果を早めに知ることである.又,彼らの意思決定の技能を高め,彼ら  に正しいインセンティブを与えることも含まれる.第3の彼らにセカンドチャンスを与えるというのは,再び活動させるための再教育  と再トレーニング,その他の対応処置をほどこしリハビリをやることによって,若い世代に一度見送ったチャンスを再び確保させることである.

 これらは,今,格差社会が問題になっている日本の若者にも充分当てはまる施策である.

目次

謝辞

方法論に関する注

略語およびデータ注

Overview 概観

若者に,今,投資せよ

若者の5 つの過渡期における投資

政策は若者の機会だけでなく,能力とセカンドチャンスにも焦点を当てるべし

機会を拡大するための政策

能力を高めるための政策:意思決定者としての若者

セカンドチャンスを提供する政策

前進する

PART I

なぜ今なのか,そしてどのように?

1 若者,貧困削減,および成長

貧困削減と成長のさらなる進展にとって若者は決定的に重要である

若者が直面するチャレンジはどのように変化してきたか?

人数は重要か? 人口動態上の変化はどのように若者の機会に影響するか?

若者は現在のチャレンジにどれくらい準備ができているか?

半分空っぽのグラス

政策当局者は何に焦点を当てるべきか? 5 つの過渡期

スポットライト:さまざまな人口動態

2. 機会,能力,セカンドチャンス:政策の枠組み

機会を拡大する

意思決定のエージェントとして若者の能力を開発する

セカンドチャンスを提供する

スポットライト:若者のレンズに性差のフィルターを付ける

PART II

過渡期

3. 仕事と生活のために学習する

仕事と生活に対する若者の教育的な備えは不十分

強固な基盤:初等以降の教育では実用性を改善する

初等以降の教育機会を増やす

若者による教育選択を改善する

セカンドチャンスを提供する

スポットライト:ベトナムの若者:繁栄を管理する

4. 仕事に就く

労働市場における若者の挑戦課題

若者を労働市場で脆弱にしているのは何か?

労働市場機会を拡大する

働くという選択をし,そうするためのスキルを開発する

社会的にもっとも弱い者を再融合するための踏み台を提供する

スポットライト:ベビーブームは雇用の爆発的拡大につながるか? OECD 諸国ではそうではなかった

5. 健康的な大人になる

若者の健康の増進は経済成長を刺激し,貧困や保健ケア支出を削減する

若者の健康増進のためには公的介入が必要である

健康的な行動を実践できるように若者の能力を強化する

健康的な選択をする機会を増やす

介入が失敗したらどうするか? 若者が悪い健康行動

の悪影響ないし不運に対処するのを支援する

スポットライト:ブラジルの若者の間における格差に取り組む

6. 家族を形成する

家族形成の準備は経済成長と貧困削減にとって良いことである

家族形成の準備は不十分である

若者が親になるための準備をする機会を提供する

親になる準備をするため,若者の意思決定能力を強化する

年若くして母親になった人を支援する

7. 市民権を行使する

若者の参加:上昇,減少,それとも両方?

若者の市民権は大人の市民権と開発にとって何を意味するか

政治参加と能動的市民権の機会

アイデンティティと一体感を獲得する

若者は法的に認められたセンカンドチャンスを必要としている

スポットライト:シエラレオネにおける生活と制度の再構築

PART III

過渡期を越えて次のステップへ

8. 国境を越えて移動し意思疎通を図る

若者と国際移住

若者と情報・アイディアの国際的な流れ

スポットライト:援助国ができること

9. 若者政策:実施する,しかもうまく実施する

若者政策の優先課題は国情によりさまざまである

若者政策は往々にして若者を裏切る

うまく実施する――一貫した枠組みを開発し,国の政策と統合化することによって

うまく実施する――若者に耳を傾けることによって

うまく実施する――モニタリングと評価を通じて

スポットライト:君(若者)次第――開発のために行動を起こす


参考文献

主要指標

テクニカル・ノート

記号

主要世界開発指標

データの出典と方法

経済圏の分類と総括値

用語と対象国

記号

テクニカル・ノート

テクニカル・ノート

訳者紹介

田村 勝省

1947年生まれ。東京外国語大学および東京都立大学卒業。
旧・東京銀行で調査部,ロンドン支店,ニューヨーク支店などを経て, 現在は関東学園大学経済学部教授,翻訳家。
主な訳書に,『新しい金融秩序』(日本経済新聞,2004年),
『ウォール街 欺瞞の血筋』(東洋経済新報社,2005年),
『サッカーで燃える国 野球で儲ける国』(ダイヤモンド社,2006),
『極限のパフォーマンス フォーミュラ・ワン』(一灯舎,2006 年),
『グーテンベルクの時代』(原書房,2006 年) などがある。