ESG投資の研究 理論と実践の最前線

更新日:2018/08/02

ESG投資の研究

理論と実践の最前線

加藤 康之 編著

2018年8月出版

定価 3,900円
[普及版]3,000円 

ISBN:978-4-907600-56-3
[普及版]:978-4-907600-61-7
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・  解説、目次

概要

ESG 投資とは,環境(Environment),社会(Social),ガバナンス(Governance)に対する企業の取組み状況に基づいて投資対象を選別する投資のことである.現在,ESG 投資は長期的に優れたパフォーマンスを求めるための投資手法として認知されつつある.企業を取り巻く社会環境は変化しており,投資家は資本主義を持続させる方法を考えるようになってきている.サステナブル投資,あるいは責任投資と呼ばれることもあるESG 投資は,そのような時代の潮流に合致するものであり,世界的に関心が高まっている.

本書はESG 投資に関する研究をまとめたものである.とかく理念的な話になりがちなESG 投資について,出来るだけ科学的に,そして,実証的な分析を行うことが本書の目的である.理念的に賛成だからという理由だけでは,投資を行うのに必ずしも納得出来る話とは言えない.特にESG 投資では,そのリターンやリスク,投資手法,企業価値への影響,パフォーマンス評価などにおいて,まだ十分にコンセンサスがあるという状況ではないと思われる.より具体的な議論をするためには科学的で実証に基づいた分析が求められていると言える.ESG投資にはまだ歴史的に十分なデータがあるとは言えないが,現時点で得られる範囲のデータで分析出来ることを知っておくことは重要であり,また,その分析の方法論を学ぶことは意義のあることであろう.本書はこういった要望に応えるものである.

各章は,ESG 投資に対して高い問題意識を持ち,それぞれの分野で活躍している専門家によって執筆されており,ESG 投資の研究について広い範囲を網羅している.ESG投資に関心のある人だけでなく,企業のCSR 活動や非財務情報の作成に関わる方にも有益な内容となっている.

2019年1月に、[普及版]を出版いたしました。内容に変更はありません。

目次

解説

筆者紹介

― 第1部 ― ESG投資のリターンとリスク

第1章 ESG投資のリターンとその源泉

1.ESG投資リターンの考え方

2.ESGは企業価値(市場価格)に織り込まれるファクターか

3.ESGはリスクファクターか

参考文献

第2章 ESG評価と株価

1.はじめに

2.市場が評価するガバナンスの質

3.日興ガバナンススコアの定義とその特徴

4.日興ガバナンススコアの活用

5.まとめ

参考文献

第3章 CSVに基づくESG投資

1.はじめに

2.定性的CSVスコアに基づく運用の可能性

3.雇用に関連した定量的CSVスコアに基づく運用の可能性

4. 最後に

参考文献

第4章 ESGによるリスクの評価

1.はじめに

2.ESGの特性および株式のリスクとリターン

3.データ

4.ESG評価の良い銘柄のリスクは低いか?

5 結論

参考文献

― 第2部 ― ESG評価手法と評価の実際

第5章 ESG評価機関によるESG評価

1.ESG評価機関によるESG評価

2.ESG評価と資本コスト,バリュエーションの関係を考える

3.MSCI ESGレーティングおよびESG指数

4.ESG評価の有効性の検証

5.まとめ:今後のESG評価と企業価値の関係

参考文献

第6章 運用機関におけるESG評価

1.はじめに

2.定式化されたESGスコアメーキングか,ジャッジメンタルなESG評価か

3.ESG評価の情報ソース

4.終わりに

参考文献

第7章 非財務情報とESG評価

1.高まる非財務情報の重要性

2.ESG情報の重要性向上

参考文献

第8章 ESG評価の最前線:ビッグデータと人工知能の活用

1.ESG評価のフレームワーク

2.ビッグデータと人工知能の応用

3.システマティックESGスコアリングの事例

4.機械学習を用いたシステマティック・サステナビリティ戦略

5.その他の例

6.まとめ

― 第3部 ― ESG投資の方法論

第9章 ESG投資手法の分類とベンチマーク

1.ESG投資手法の分類

2.ESGが企業価値に織り込まれるファクターである場合の投資手法

3.ESGがシステマティックな超過リターン(リスクプレミアムやモーメンタム)をもたらすリスクファクターである場合の投資手法

4.金銭的リターンを求めないESGティルト運用

5.運用評価とベンチマーク

参考文献

第10章 ESGインデックス運用の実践

1.GPIFの特徴とESG投資

2.ESG指数選定からみたGPIFの考え方

3.ESG投資拡大で期待される効果と課題

4.GPIFのESGインデックス運用の位置づけ

5.最後に

参考文献

第11章 ESGインテグレーション

1.ESGインテグレーションとは?

2.ESGインテグレーションの方法論

3.DCF法におけるESGインテグレーション~ニッセイアセットの事例~

4.終わりに

参考文献

第12章 ESGの最先端を行くインパクト投資

1.インパクト投資とは何か

2.インパクト投資の手法

3.インパクト投資市場は急成長中

4.インパクト投資の今後~急拡大する株式市場でのインパクト

― 第4部 ― エンゲージメントと企業価値向上

第13章 ESG投資とエンゲージメント

1.ESG投資でのエンゲージメントの意義

2.経営戦略とESGの統合

3.エンゲージメント活動の実態

4.今後の我が国の企業・機関投資家でのESG投資とエンゲージメントへの示唆

参考文献

第14章 ESGから見たソーシャル・アントレプレナーシップとIPO

1. はじめに

2.世界と日本のベンチャー投資

3.社会的問題とソーシャルベンチャー

4.企業ガバナンスとIPO

5.おわりに

参考文献

第15章 エンゲージメントとERMの視点から見たESGのあり方

1.ERMとESG

2.ERMとは何か

3.プライベートリスクとESG

4.ERMのリスクマッピングとマテリアリティ原則

5.ESG格付におけるリスクマネジメント評価とリスクIR

6.ROIC・WACC経営とESG

7.エンゲージメントとERMの視点から見たESGのあり方

参考文献

索引

編者紹介

加藤 康之(かとう やすゆき)

京都大学経営管理大学院特定教授
1980年東京工業大学修士卒.(株)野村総合研究所入社,海外拠点を経てシステムサイエンス部長.1998年に野村證券(株)に転籍,金融工学研究センター長等を経て,2005年に執行役.2011年4月に京都大学大学院教授.他に,年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)経営委員,日本価値創造ERM学会会長,日本アナリスト協会教育委員会委員,お金のデザイン(株)アカデミクアドバイザー等.京都大学博士.


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