世界開発報告 2006

更新日:2006/05/31

世界開発報告 2006

経済開発と成長における
公平性の役割

田村 勝省 訳

2006年5月 発行

定価 3,790円

ISBN 4-903532-00-3

サンプルページ(PDF)

・  
・  概観

概要

多くの途上国では,所得,健康,および教育等の面で,著しい不平等が長い間厳しい現実として存在している。不平等は資源の非

効率的利用や有効性に欠ける制度につながるため,長期的に開発にとって有害である。したがって,公正さを促進し,公平性を追

求するという公的措置には,果たすべき正当な役割がある。ただし,そのような措置は資源配分に関して,個人の自由と市場の役

割が最重要であるという点を認識したものでなければならない。

『世界開発報告2006』では,各国内および各国間における機会の不平等に関するデータが提示されるとともに,それが開発を阻

害するメカニズムが例証されている。同報告書では,開発にかかわる優先課題を決定するのに際しては,公平性を明示的に考慮す

るよう提唱している。すなわち,政策介入がなければ,資源,発言権,および能力が最低限にとどまるような人々の機会拡大をめざ

す公的措置を推奨している。国内的には,人間への投資,司法,土地,およびインフラへのアクセス拡張,そして市場における公

正さの促進を主張している。国際的には,グローバル市場の機能とそれを統治するルール,さらに,貧困国および貧困者がみずか

らの資質を増強する自助努力を支援すべく,補完的な援助の提供も検討している。世界銀行が有する60年間におよぶ経験に基づ

いた『世界開発報告2006』は,公平性が高いほど,貧困が減少し,経済成長が高まり,開発が進展し,そして,社会のなかで最貧層へ

の機会拡大が実現する,ということを理解するための必読書である。

目次

謝辞

略語およびデータ注

Overview 概観

国内および各国相互間の不公平

公平性は開発にとってなぜ重要なのか?

経済的および政治的な競争条件の平準化

1 はじめに

機会の公平性と不平等性:基礎概念

不平等の罠

本報告書の要旨の予告

PART I

国内および各国相互間の不公平

フォーカス1 パランプール村

2 国内の不公平:個人間およびグループ間

保健の不平等

教育の不平等

経済的な不平等

グループ間格差と不平等との関係

エージェンシーと公平性:権力の不平等

女性にとっての不平等の罠

3 グローバルな視点からみた公平性

実例と概念

健康に関するグローバルな不平等

教育に関するグローバルな不平等

所得および支出に関するグローバルな不平等

権力に関するグローバルな不平等

将来の瞥見

フォーカス2 エンパワメント

PART II

なぜ公平性は重要なのか?

4 公平性と福利

公平性に対する倫理的および哲学的アプローチ

公平性と法律制度

人々は公正さを好む

所得不平等と貧困削減

5 不平等と投資

市場,富,地位,および投資行動

過少投資の証拠

不平等と投資

フォーカス3 スペイン

6 公平性,制度,および開発プロセス

権力の配分と制度的な質:悪循環と好循環

制度と政治的な不平等は開発にとって重要:歴史上の証拠

制度的および政治的な不平等は開発に作用する重要な問題:

最新の証拠

より公平な制度への移行

結論

フォーカス4 インドネシア

PART III

経済的および政治的な競争環境を平準化する

7 人的能力

早期児童開発:人生におけるより良いスタート

基礎教育:学習機会の拡大

すべての人々の健康改善に向けて

社会的保護:リスクの管理と社会扶助の提供

要約

8 司法,土地,およびインフラ

公平な司法制度の構築

土地アクセスにかかわる公平性改善に向けて

インフラの公平な提供

要約

フォーカス5 税制

9 市場とマクロ経済

市場と公平性の関係

金融市場における公平性と効率性の実現

労働市場における公平性と効率性の実現

製品市場と貿易の改革

マクロ経済管理と公平性

フォーカス6 地域的不平等

10 グローバルな公平化を実現する

グローバル市場のより公平な機能

基本的な資質の構築を助けるための開発援助供与

公平性向上への移行

要約

フォーカス7 薬へのアクセス

エピローグ

参考文献についての注

文献

主要指標

公平性の測定

主要世界開発指標

訳者紹介

田村 勝省

1947年生まれ。東京外国語大学および東京都立大学卒業。

旧・東京銀行で調査部,ロンドン支店,ニューヨーク支店などを経て,

現在は関東学園大学経済学部教授,翻訳家。

主な訳書に,『新しい金融秩序』(日本経済新聞,2004年),

『ウォール街 欺瞞の血筋』(東洋経済新報社,2005年),

『サッカーで燃える国 野球で儲ける国』(ダイヤモンド社,2006)

などがある。