Eco2 Cities 2つのエコが融合する環境経済都市

更新日:2014/04/04

Eco2 Cities

2つのエコが融合する環境経済都市

Hiroaki Suzuki / Arish Dastur / Sebastian Moffatt / Nanae Yabuki / Hinako Maruyama 著

井村 秀文 監訳

横浜市立大学グローバル都市協力研究センター / 千葉 啓恵 訳

2014年4月 発行予定

定価 3,000円+税

ISBN 978-4-907600-07-5

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・  監訳者による前書き

概要

本書は,世界銀行の「Eco2 Cities イニシアティブ」の概要を提供している.ここで“Eco2”という語は,エコロジー(環境)とエコノミー(経済)という2つの「エコ」の融合を都市という舞台で実現することを意味している.Eco2 Cities イニシアティブの目的は,発展途上国の都市が環境と経済の両面での持続可能性を高めるための取り組みを行うのを支援することである.しかし本書の内容の大部分は日本を含めた先進国の都市にもそのまま当てはまる.

本書は3部で構成されており,第一部では「Eco2 Cities イニシアティブ」の枠組みが述べられ,第二部では,都市ごとの意思決定を支援するためのシステムが提示される.そして第三部は,事例分析のための手引であり,Eco2を実現している6つの都市が具体的に紹介されている.

地球環境は,先進国,発展途上国を問わず,全人類の共有財産であり,この地球環境をまもるためにEco2を実現する必要がある.環境工学や行政に関わっている人だけでなく,環境に関心のある一般の人にとっても有益な一冊となっている.

目次

総 括

第1部 枠組み

第1章 環境都市と経済都市

挑戦と機会

都市の持続性におけるイノベーションとその利益

優良事例都市から得られた強力な教訓

投資還元の機会

第2章 Eco2 Cities イニシアティブ:その原理と道筋

都市が直面する多くの課題

原則に立脚したアプローチで課題を克服

原則から重点施策の実施と独自のEco2 経路へ

第3章 都市ベースのアプローチ

都市ベースのアプローチの重点項目

都市ベースのアプローチのための手順

第4章 協働によるデザインと意思決定のための拡大プラットフォーム

協働プラットフォームの重要要素

拡大協働プラットフォームのためのステップ

第5章 ワンシステムアプローチ

ワンシステムアプローチの柱

ワンシステムアプローチのための手順

第6章 持続可能性と復元力に重きを置く投資枠組み

持続可能性と復元力に投資するに当たっての重要事項

持続可能性と復元力に向けた投資の手順

第7章 共に前進しよう

知識共有・技術援助・能力形成

資金源

第2部 都市ベースの意思決定支援システム

第8章 協働によるデザインと意思決定の方法

協働ワーキンググループの組織と運営

ビジョンと行動を一致させる共有枠組みの開発

地域システム設計シャレットの実施

第9章 資源フローと都市の形の分析方法

メタ図とマテリアルフロー分析

効果的な地

オーバーレイ・マッピング

図の重ね合わせ

第10章 投資計画の立案方法

ライフサイクルコスティング

環境会計

予測ワークショップと復元力強化の計画

第3部 事例調査ガイド:世界のEco2 Cities

事例1 クリティバ市,ブラジル

事例2 ストックホルム市,スウェーデン

事例3 シンガポール

事例4 横浜市,日本

事例5 ブリスベン市,オーストラリア

事例6 オークランド地方,ニュージーランド

索引

監訳者紹介

井村 秀文(いむら ひでふみ)

横浜市立大学特任教授、名古屋大学名誉教授.
1969 年東京大学工学部卒業,1974 年同大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士).環境庁,外務省,横浜市等を経て,1988 年九州大学工学部助教授,1991 年同教授,2001 年名古屋大学大学院環境学研究科教授(2011 年退職).
著書に,『中国の環境問題』(化学同人,2008);『環境問題をシステム的に考える』(化学同人, 2009);“Environmental Systems Studies: A Macroscope for Understanding and Operating Spaceship Earth”(Springer 2013) ;“ Environmental Issues in China Today: A View from Japan” (Springer 2013) など.

訳者紹介

横浜市立大学グローバル都市協力研究センター

横浜市立大学は,アジアを中心とした世界の諸都市や世界銀行等の国際機関と協力しながら,都市が抱える問題の解決を目指す大学間ネットワーク(アカデミックコンソーシアム)を推進している.その活動を推進するため,2011 年4 月にグローバル都市協力研究センターが設立された.

千葉 啓恵(ちば ひろえ)

東北大学大学院農学研究科修士課程修了.化学会社研究所勤務を経て,現在は生物科学・自然科学関連の翻訳者.

主な訳書
『グローバル・フィーバー ――地球温暖化の症状と対応策』(一灯舎, 2010 年)
『天災と人災 ――惨事を防ぐ効果的な予防策の経済学』(同, 2011 年)
『ユダヤ人の成功と悲劇 ――資本主義と民族主義への対応』(同, 2012 年)
『あなたの仕事も人生も一瞬で変える評判の科学』(中経出版, 2013 年)
『ジェネンテック 遺伝子工学企業の先駆者』(一灯舍, 2013 年)