世界給与・賃金レポート最低賃金の国際比較 組合等の団体交渉などの効果、経済に与える影響など

更新日:2010/01/31

世界給与・賃金レポート

最低賃金の国際比較 組合等の団体交渉などの効果、経済に与える影響など

国際労働機関 編著

田村勝省 訳

2010年1月 発行

定価 1,500円

ISBN 978-4-903532-55-4

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・  序文、目次、はじめに

概要

ILO(国際労働機関――国連の一部)によって,今回初めて発表された世界各国の給与や賃金についての詳細な比較研究レポート(2008/2009)は,日本の今日の実情を考える上で重要な示唆を与えるものである.例えば,EU 諸国に比べると日本での賃金労働者や若者や中間層の給与や労働条件についての保護対策が不十分であり,経済不況によって翻弄されるままになっている.政府および有識者,企業経営者やNGO,NPO などが関心を持って考えて行動すべき多くのテーマ(最低賃金の国際比較 / 組合等による団体交渉などの効果と経済に与える影響)を提供している.本書は大学における雇用労働問題,分配論,雇用制度論,経済成長と労働などのテキストや参考書としても役立つであろう.

目次

序文

謝辞

目次

はじめに

Part I 賃金の主要トレンド(1995?2007 年)

第1 章 経済的な文脈

第1 節 経済成長率は高いが先行きは暗い

第2 節 世界的な経済統合の継続

第3 節 インフレ

第2 章 総賃金

第1 節 定義と統計

第2 節 平均賃金

第3 節 賃金シェアの変化

第3 章 賃金の分布

第1 節 賃金不平等は問題か?

第2 節 賃金不平等のトレンド

第3 節 賃金不平等と経済発展

第4 節 賃金不平等と性差

Part II 最低賃金と団体交渉

第4 章 最近のトレンド

第1 節 最低賃金の復活

第2 節 団体交渉のカバレッジに関する対照的な動向

第5 章 賃金の結果に対する制度の影響

第1 節 団体交渉・生産性・賃金

第2 節 制度と賃金不平等

第3 節 文献に基づく発見

第6 章 一貫した賃金政策の設計

第1 節 最低賃金を有効かつ適正な賃金フロアとして活用

第2 節 団体交渉を最低賃金とともに推進

Part III 要約と結論

第7 章 主な発見と政策意義

第8 章 新たな問題と今後の対応策

技術的補遺Ⅰ:賃金シェア

技術的補遺Ⅱ:制度と不平等

参考文献

統計付録

編著者紹介

国際労働機関

ILO:The International Labour Organization( 国際労働機関)
http://www.ilo.org/

 国際労働機関(ILO : International Labor Organization)は1919 年に,社会正義の促進,そして,
世界的な平和とその持続を目的として設立された.創立50 周年にあたる1969 年にはノーベル平和
賞を受賞している.この機関の事務部門,事業本部,調査研究センター及び出版部門の本拠は,ジュ
ネーブにある国際労働事務局である.その管理運営は,40 以上の国にある地域総局及び現地事務所
に分散されている.国際労働機関は国連に加盟する機関では独特の三者(政府,使用者,労働者)構
成を採用しており,理事会にはこの三者の代表も含まれている.これは,政策策定や計画立案時には,
経済を動かす社会的パートナーである労使代表も政府と等しく発言する権利をもっている,という理
念に基づくものである.上記の三つの団体は,ILO が後援する各地域での活動や会合に参加するだけ
でなく,国際労働総会にも出席している.この国際労働総会は,毎年開催されており,世界の労働問題,
社会問題を討議する国際フォーラムでもある.

 国際労働機関は長い年月にわたり,労働組合,労働者,社会政策,雇用条件,社会保障,企業間の
交渉や労働行政などに関する問題に,参加各国の様々な条件を考慮しつつ取り組んできている.
 国際労働機関は,40 カ国以上からなる地域総局や労使団体間の情報交換を通して,助言や技術的
な支援を行っている.この支援活動には,労働者の権利と企業間交渉に対する助言,雇用の促進,小
規模な企業の発展を目的とした教育,計画の策定などが含まれる.またさらに,社会保証や労働条件,
労働環境の安全性に関するアドバイス,労働に関する統計の比較と公表,労働者教育も行っている.

訳者紹介

田村勝省(たむら かつよし)

1949 年生まれ.東京外国語大学および東京都立大学卒業.旧東京銀行で調査部,ロンドン支店, ニュー
ヨーク支店などを経て,現在は関東学園大学教授,翻訳家.

訳書
『アメリカ大恐慌(上下)』(NTT 出版,2008 年)
『大転換 ――帝国から地球共同体へ』(一灯舎,2009 年)
『企業の名声 ――トップ主導の名声管理・回復十二か条』(一灯舎,2009 年)
『ウォール街の崩壊の裏で何が起こっていたのか? 』(一灯舎,2009 年)
「ニューエコノミーでアメリカが変わる!――幻の富から真の富へ、オバマ大統領への期待」(一灯舎,2009 年)


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