シームレス・アジアに向けたインフラストラクチャ

更新日:2010/06/04

シームレス・アジアに向けたインフラストラクチャー

アジア開発銀行/アジア開発銀行研究所 著

荒川博人(国際協力機構) 監訳

国際協力機構 開発問題研究チーム 訳

2010年6月 発行

定価 2,800円

ISBN 978-4-903532-62-2

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・  序文,目次

概要

アジアの巨大な潜在的経済力.昨今の経済・金融危機.こうした中,アジアは地域統合を進め,より高い競争力を育み,経済的に繁栄した地域を目指すべきである.そのためには,アジア域内を,またアジアと世界を,効率的かつシームレスに連結させる必要があろう.本書は,次のような問いに答えるものである.

  • アジアをシームレスに連結する上での主要課題は?
  • アジアの地域インフラを整備することによる費用と便益は?
  • アジアの地域インフラ事業の中で優先度の高いものは?
  • アジアの地域インフラを整備するために必要な金額は?
  • その必要な金額をどのように調達するのか?
  • ヨーロッパやラテンアメリカの事例から学べることはないか?
  • シームレス・アジアの創設に向けた地域協力を発展させるためには,どのような制度,政策,体制が必要なのか?

本書は,ハード・ソフト両面の地域インフラ(特に運輸・エネルギー分野)を整備し,シームレス・アジアの創設に向けた地域協力を発展させていく上での主要課題を分析するものである.また,既存の地域インフラ整備に関するプログラム,政策,制度を評価し,上述の課題に対処するために地域がなすべきこと,そして汎アジア・インフラ協力を進めるためのフレームワークも提案する.

アジアは,今こそ汎アジア・インフラ・ネットワークを構築し,広大で多様なアジア地域の統合を推し進めるときである,というのが本書の主要なメッセージである.アジアの地域統合は,アジアの全ての人々に便益をもたらし,地域を持続的な繁栄に導くものである

目次

序文

日本語版刊行によせて

謝辞

用語集

要約

第1章 インフラニーズと地域協力

1.1. 範囲,対象,定義

1.2. なぜ地域インフラが必要か

1.3. 地域インフラ協力の枠組み

1.4. アジアの地域インフラ・イニシアティブの概要

1.5. 本研究の概要

第2章 域内貿易と域内投資の後押し

2.1. アジアのインフラ概観

2.2. アジア貿易の傾向

2.3. 貿易・投資のためのインフラ

2.4. 域内エネルギー貿易の促進

2.5. 更なる貿易拡大に向けて

第3章 地域インフラの便益

3.1. インフラ・ネットワークの経済学

3.2. 実証的証拠

3.3. 地域別事例分析

3.4. 潜在的な負のインパクト

3.5. アジア全体を連結することによる総便益

3.6. 結論

第4章 効果的な政策・制度の設計

4.1. 効果的な政策・制度に求められる構成要素

4.2. ヨーロッパとラテンアメリカの経験

4.3. アジアにおける地域インフラ事業:政策・制度面の整理

4.4. 主要課題への取り組み

4.5. 結論

第5章 地域インフラに対するファイナンス

5.1. ファイナンス・ニーズ

5.2. 地域インフラ・ファイナンスの課題

5.3. 国際的な経験

5.4. アジア金融市場の発展

5.5. ファイナンスの選択肢

5.6. 結論

第6章 シームレス・アジアに向けて

6.1. 地域インフラ協力のための枠組み

6.2. 主要な調査結果及び提言

6.3. 今後の展望

付属資料

参考文献

あとがき

著者紹介

アジア開発銀行(ADB)/ アジア開発銀行研究所(ADBI)

アジア開発銀行のヴィジョンは,アジア太平洋地域から貧困をなくすことです.ADB に加盟している発展途上国を援助することによって,貧困を少なくし,また人々の生活の質を向上させることを当銀行の使命としています.ADB の取り組みは,アジア太平洋地域に住む人々の生活の改善,とくに一日の生活費が$2 以下のおよそ17 億人をそのターゲットとしています.多くのサクセスストーリーをよそに,世界の2/3 の貧困者はこのアジア太平洋地域に残ったままです.

包括的経済成長,環境を考慮した持続的成長,地域統合をつうじて,ADB は貧困の減少に全力を傾けます.マニラ(フィリピン)に拠点をおくADB は,48 の地域を含む,67 の加盟国より成り立っています.主に政策対話,融資,技術援助,補助金交付,保証,株式投資によって,加盟国を援助しています.

アジア開発研究所(ADBI,東京)は,アジア開発銀行(ADB,マニラ)の補助機関です.ADB に加盟している発展途上国の二つのニーズ:効果的な発展戦略の策定,政府組織や機関の健全な開発管理に関してのキャパシティーを改善すること,に応えていくために,1997 年12 月に設立されました.当研究所はコーカサス地方から太平洋諸国にわたる広い地域に対し,地域発展のために知識の供給者として,またトレーニングセンターとして貢献しています.

監訳者紹介

荒川 博人( あらかわ ひろと)

1976 年にOECF(海外経済協力基金)採用.ニューデリー次席駐在員,スリランカ・バングラデシュ担当課長,総務部業務課長,中近東等担当課長,ワシントン首席駐在員を経て,1999 年JBIC(国際協力銀行)発足後は東アジア担当部次長,NGO・地方公共団体連携担当審議役,東南アジア担当部長,開発業務部長,専任審議役,開発金融研究所所長を歴任.2008 年10 月,新JICA 発足後は上級審議役(国際連携等を担当)に就任し現在に至る.


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