マクミラン経済学者列伝 アダム・スミス

更新日:2014/01/28

マクミラン経済学者列伝

アダム・スミス

ガヴィン・ケネディ 著

小谷野 俊夫 訳

2014年2月 発行予定

定価 2,500円+税

ISBN 978-4-907600-05-1

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・  序文,目次

概要

著者は、アダム・スミスの思想をそのまま二十一世紀の政策論争に転送することによって紹介するのではなく、社会と経済がどのように機能しているかに関するスミスの半ば隠された歴史および社会発展の理解の応用事例を教材として紹介している。アダム・スミスを経済学が独立した学問分野になる前の政治経済学の重要な思想家として説明しており読者にスミスの著作の歴史的な面に注目するよう求めている。また、現代における「見えざる手」の理論家、「自由放任主義」や「自由貿易の主唱者という解釈が極めて限定的で歪められた見方であることを示し、アダム・スミスをより正確にみるよう忠告している。本書を読むことによって読者は、アダム・スミスが生きた時代だけでなく、グローバル化した現在においても、アダム・スミスの主張が妥当なものであるという思いを強くするであろう。すでにスミスの思想や著作に慣れ親しんでいる人にとっても新たな視点が得られる一冊となっている。

目次

謝辞

アダム・スミスの原著について

第一章 はじめに:今なぜアダム・スミスなのか

『国富論』は何について書かれているのか

スミスの西欧史

第二章 適正の十分な証拠:彼の前半生――二九歳直前にグラスゴー大学教授になるまで

はじめに

アダム・スミスの父

母マーガレット・ダグラス・スミス

アダム・スミスが受けた教育

教授に選任される

第三章 初期段階の社会

はじめに

スミスの一貫したテーマ

スミスの「市場モデル」

交換モデルとは

社会の起源

人類の四つの時代

スミスの推測

第四章 かくも弱く不完全な生き物である人間

はじめに

公平な観察者

影響を調和すること

ホッブス信奉者の悪夢

第五章 統治と法の一般原理

はじめに

空位期間とローマの崩壊

封建制度の衰退

憲法で保証された自由

第六章 人間の本来の性向 ――分業と交易――

富の創造

分業

市場の広さ

交易

交換の交渉

交易の交渉

第七章 当初の状態が続いていた ――商業前の時代――

はじめに

原始社会における価値

混乱の兆候

未開社会をはっきり認識する

生計費一定の労働理論

改良された社会における交換価値

第八章 ついに商業の時代が現れる

はじめに

自然価格と市場価格

賃金

不完全市場

第九章 勤勉な人びとを仕事に就ける

はじめに

変化の積み重ね

商業社会の要素

資本の貯えの起源

資本の貯えの形態

資本としての貨幣

利己主義の有害な結果

第十章 生産的な人々のために資金を増やす ――経済成長の理論――

はじめに

純粋なスミス的成長の構成要素

成長の必要条件

生産的労働と非生産的労働

第十一章 非常に激しい攻撃 ――重商主義に対する批判――

はじめに

重商主義の政策

輸入制限

特別な輸入制限

重商主義政治経済学と植民地

特許貿易会社

植民地貿易と資本のゆがみ 

第十二章 見えざる手 ――スミスの意図に反した誤用――

はじめに

スミスの比喩の扱い

比喩の対象

必然性の規則

不用意な結論

第十三章 平和、軽い税、正義

はじめに

国家の第一の義務

国家の第二の義務

国家の第三の義務

教育と健康

公的収入

政府の失敗

公債

第十四章 アダム・スミスの遺産

はじめに

自由放任の終焉

貧困層をどうするか

おわりに

訳者あとがき

参考文献

索引

著者紹介

ガヴィン・ケネディ(Gavin Kennedy)

エディンバラ・ビジネス・スクール,及びヘリオット・ワット大学(イギリス)の名誉教授.ガヴィン・ケネディは,Adam Smith’s Lost Legacy(Palgrave Macmillan, 2005)を出版しており,交渉過程に関して幅広い執筆活動を行っている.

訳者紹介

小谷野俊夫(こやの としお)

静岡県立大学名誉教授.
元学習院大学経済学部非常勤講師,元早稲田大学商学部非常勤講師,元明治大学商学部非常勤講師.
1969年早稲田大学政治経済学部卒.1975年ペンシルベニア大学ウォートンスクール修了(MBA).
第一勧銀調査部ニューヨーク駐在シニア・エコノミスト,DKB総研経済調査部長を経て1997年静岡県立大学教授(2012年停年退職).
翻訳書に『連邦準備制度と金融危機』(2012)一灯舎,共訳書に『欧州中央銀行の金融政策』(2002)東洋経済新報社,『アメリカの金融政策と金融市場』(2000)東洋経済新報社,いずれも立脇和夫博士との共訳がある.


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