更新日:2020/01/20
・ 序文、目次、概観
仕事の内容や形態は、機械化や、情報処理および通信の技術の発達によって大きく変わってきている。自動化が可能な仕事は、今後はより一層機械が行うようになるだろう。しかし同時に、技術は機会を創造し、新しい形態の仕事の下地を作り、生産性を向上させ、公共サービスの提供を改善しつつある。未来の仕事について考える際に重要なことは、大勢の子供たちが現在は存在していないような仕事に就くだろうということだ。技術の恩恵を活用し、そして技術がもたらす最悪の混乱を緩和する、すなわち仕事の本質の変化に適応するためには、人的資本の根幹である健康と教育への投資が不可欠である。このような理由から、本報告書は人的資本の重要性を強調している。しかし現在、あまりにも多くの諸国がこの決定的に重要な投資を行っていない。
世界銀行の「人的資本プロジェクト」はこのことの是正を求めるものであり、本書では新たに開発された「人的資本指数」が公表されている。各国についてこの人的資本指数の一覧が示されるとともに、人的資本に関する入手可能なデータのより一層の改善を求めている。また本報告書は、仕事の本質の変化に適応するために、各国政府に対して自国民への待遇の改善と普遍的で保証された最低水準の社会的保護の提供を要請している。
日本では「働き方改革」が求められている。仕事の未来を世界全体的な視点から詳細に分析している本書は、示唆に富む貴重な情報源となっている。