企業の社会的責任(CSR)の徹底研究

更新日:2007/10/30

企業の社会的責任(CSR)の徹底研究
利益の追求と美徳のバランス――その事例による検証

デービッド・ボーゲル 著

小松由紀子/村上美智子/田村勝省 訳

2007年11月 発行

定価 2,200円(+税)

新 : ISBN 978-4-907600-11-2
旧 : ISBN 978-4-903532-39-5

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・  前付

概要

本書は、様々な企業がこれまでに行ってきた「企業の社会的責任(CSR)」に関する活動を事例をもとに詳細に分析し、その活動が企業自身や市民社会へ与えた影響、そして今後より有効性を高めるためにどうするべきかを述べている。
 企業自身や市民社会への影響に関しては、単に表面的なものにとどまらず、
 ・CSR活動を積極的に行っている企業を多く含むポートフォリオは通常のポートフォリオより儲かっているのか
  (社会的責任投資[SRI]の現実)
 ・「企業がコスト削減として行ったことをCSRに結び付けている」といったようなことはないのか
 ・CSRは採算がとれるのか
  (消費者はCSRに関連した、あるいはCSRに積極的な企業の商品なら高くても買うのか)
 ・CSR活動が注目されるのは先進国の大企業ばかりであるが、それらの企業を支えている膨大な数の下請け企業
  (その殆どが生活習慣の全く異なる途上国である)についてはどうなのか
 ・CSRという企業の自主的な取り組みので本当に効果があるのか、それには限界があり、やはり法的規制も必要
  なのではないか
など、CSRとしては通常表にはでないものの非常に重要な問題についても徹底的に調査して明らかにしている。そして、一つの結論として「企業の社会的責任の定義は、より責任をもって行動することを全企業に義務付ける政府の能力と市民社会の両方を強化することを含める方向で、再定義する必要がある」と提案している(本書より)。
企業の責任や環境問題に注目がつまる昨今、見過ごされがちな側面についても積極的に取り扱っている本書は読者の方に多くの有益な情報と示唆を与えるであろう。

目 次

序章

第1章 復活する企業の社会的責任

企業の社会的責任とは何か?

企業の社会的責任が復活している背景

企業の社会的責任とそれに対する批判

本書の範囲と狙い

第2章 企業の社会的責任は採算が合うのだろうか

従来の企業責任:企業市民

CSRの新しい世界:利益

新しいビジネス環境

企業にとってCSRは採算が取れるという説を検証する

CSRの見直し:社会的責任投資

高潔な企業は生き長らえるか

結論

第3章 美徳に対する需要

消費者――理想と財布

従業員――職場は自分の倫理観に合致しているか?

投資家――非公式な圧力という役割

CSRの採算性再検討

第4章 発展途上国の労働条件に関する企業の責任

美徳の市場――利益と限界

ナイキ――除け者からリーダーに

アメリカにおける自主規範

ヨーロッパにおける自主規範

農業における自主規範

順守の挑戦

自主規範はどれほど有効か?

社会ラベル――労働条件を改善するもう一つのアプローチ

結論

第5章 企業の環境に対する責任

海上で嵐に遭遇したシェル

森林のグリーン化

地球温暖化に関する活動

企業の環境責任の欠点

第6章 人権に対する企業の責任とグローバルな企業市民

ナイジェリアにおけるシェル

採取産業と人権

投資決定と人権

企業市民のグローバルな規範に向けて

人権支持に対する投資効果を評価する

結論

第7章 美徳の市場を超えて

政府規制から市民規制へ

市民規制から政府規制へ

協働する――企業の社会的責任と規制

責任の再定義

索引

著者紹介

デービッド・ボーゲル(David Vogel)

カリフォリニア大学バークレー校の政治学および同校のハース経営大学院の企業倫理 学の教授.以下の著作がある.Barriers or Benefits? Regulation in Transatlantic Trade (Brookings, 1998),Kindred Strangers: The Uneasy Relationship between Politics and Business (Princeton, 1996),Trading Up: Consumer and Environmental Regulation in a Global Economy (Harvard, 1995) など.

訳者紹介

小松 由紀子(こまつ ゆきこ)

東京外国語大学イタリア語学科卒業.旧東京銀行を経て,現在は日本語教師・翻訳家.
序文,1 章,2 章,3 章担当.

村上 美智子(むらかみ みちこ)

東京大学文学部卒業.旧東京銀行・富士通総研経済研究所・国際協力銀行を経て,
現在は東洋英和女学院大学大学院非常勤講師等.
4 章,5 章担当.

田村 勝省(たむら かつよし)

現在は関東学園大学教授・翻訳家.

6 章,7 章担当,および全体の監訳.


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